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上原のあ@uen70ika
No.117
Weapon in Twin
,
WIT_SS
レオカリちゃん カリンちゃん誕生日2025
レオカリちゃん カリンちゃん誕生日2025
#-うちよそ
#-レオカリちゃん
#-レオ
>>
「レオ、手伝ったろか?」
布を並べていたところに影がさし、憎たらしい馴染みの声が上から降ってくる。
不要だ、と言う代わりに、視線もやらず手を振って、退け、と伝える。広い窓のある談話室で布を見定めていたから、邪魔されるのも織り込み済みではある。別にもう、何が何でもどこかに行けというほど俺もガキではなかったが、ただただ、場所が悪い。
声の主――兄は気を悪くした風もなく、邪魔にならない場所にあった椅子に座った。
見てはいるが、口を出す気もないらしい。一瞥してその表情を確かめてから、オレはじっと思索の中へ再度沈み込んで行く。
結局――認めざるを得なかった。機関に来て――家業を、『|出奔した兄《アドラー・フォーグラー》よりも上手く』やることを目指して――それが何一つ間違えた努力だったことを。
オレは大した商才もない。富を増大させるのには向いていない。
ただ、こういう目利きが少しできるだけ。
リボンを選ぶ、靴を選ぶ。武器を選び、戦い方を選ぶ。
不特定多数の大衆に向けた商売を得意とする家業にはさほど必要のない能力だった。それでも、
――オレは、『相手の価値に沿うもの』を選ぶことができる。
手元のメモに、いくつか軽くデザイン画を描いた。別に絵は上手くないが、形くらいは伝えられる。
「仕立てたん渡すには時間ないんちゃうん」
「それは後でいい」
サプライズ性と、無駄にならないことを両立するために、仕立てる前の布と、小物と、デザインの方向性だけを伝える。後はある程度採寸して、職人に任せる。
必要な作業を終えて、ふう、とため息をつく。何気なく顔を上げると、兄は柔らかくオレを見ていた。
「丸くなったなあ」
「…………んだそれ、何様だ」
思わず顔をしかめてしまう。
オマエが人のこと言えたクチか、とは言えなかった。
兄は――カラソは、サンプルを片付けるのを手伝ってくれた。商人と話をつけるのに、最終的には値段交渉まで片付けてへらへらと去っていく。オレが思っていた予算の一割は浮いて、なのにその額をせびるでもなく。
ちりちりと浮かぶ劣等感もあれど、素直に受け取れる程度の余裕は生まれていた。
カリンは、機関にいる親戚たちから誕生日を祝われる。実家の兄たちからも誕生日を祝うプレゼントが届いているようだった。オレには想像できない家庭環境だが、だいぶオレも巻き込まれて長く、いつのまにか慣れてしまった。
そんな彼女に渡すモノは、タイミングも重要だった。他のものにもみくちゃにされて、印象が薄くなるといくらか寂しい。
まだ祝うような空気が強くない早朝に、訓練を持ちかけた。バディだからという名目で――別に仕事もないのだし、今日は休んでもいいのだが。そのはずなのにわざわざ早朝に訓練しようと誘ったから、向こうも微妙な緊張をもってやってくる。
通り一遍の確認を取って、訓練を終えてから、「おい」と声をかける。
「……誕生日、お、めでとう」
だいぶスムーズに言えるようになっていた。けれどやっぱり口にすると照れくさく、言いながらカリンの口にビスコッティを突っ込む。彼女はモソモソと口を動かして――訓練とはいえ腹は減るのだ――ごくっと飲み込む。その間に、玄関口の安全な場所に置いておいた荷物から、包みを取り出した。
「あ、ありがとう。それ、プレゼント?」
「…………ん……未完成だが」
「未完成?」
少し不思議そうな目を向けられる。いつも計画性を持てと口酸っぱく言うオレが当日に間に合わせなかったのだから、遅刻のようでもある。自分で言うのもなんだが、珍しく見えるだろう。
「中身、確認してもらっていいか?」
「いいけど、何? 結構軽いね」
紐を解きながら、カリンが言う。はらりと包みが取れて、反物が見える。
「……服?」
「まだ、布。……採寸とかしねぇと、まともに服にできねぇだろ」
彼女に合うように、柄も、色も、ずっと悩んで選んだ。裏地も小物の紐も、全部選んで。
目を丸くしているカリンをよそに、メモを開いて、「こういう風に、これから仕立てようと思って――」と見せる。
「オマエが気にいらねぇなら意味ねぇから、確認も兼ねて――」
そう言いながら顔を上げると、――顔を赤くしたカリンがそこにいた。
思ったより目の前で。
「……な」
「…………」
「……ンだよ! 文句あるか!?」
「な――ないない! ないけど~~ッ!?」
全然いいけど、じゃあなんだよ今の沈黙は――なんてやりとりをぎゃあぎゃあしながら。
心のどこかで冷静な自分が、――いい加減このくらい慣れねえかなぁ、オレも、と呆れた声を上げていた。
上原の思った余談
レオカリちゃんは思春期少年漫画カップルなので
この流れだとカリンちゃんが、レオ自身がカリンちゃんの採寸をすると誤解し爆発してレオがアンコちゃんとかに死ぬほどからかわれたりなんやかんやする、そういうやつ。今言葉が足りていない自覚がありますが「伝われ」の丸投げ顔してますね
イメージとしてはまだ付き合ってないか付き合っていても微妙に照れが残ってる時期だと思います、まあそういう時期もありますよね。なかったら二次創作ってことで許してください。
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2025.4.4 >117
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#-うちよそ #-レオカリちゃん #-レオ
「レオ、手伝ったろか?」
布を並べていたところに影がさし、憎たらしい馴染みの声が上から降ってくる。
不要だ、と言う代わりに、視線もやらず手を振って、退け、と伝える。広い窓のある談話室で布を見定めていたから、邪魔されるのも織り込み済みではある。別にもう、何が何でもどこかに行けというほど俺もガキではなかったが、ただただ、場所が悪い。
声の主――兄は気を悪くした風もなく、邪魔にならない場所にあった椅子に座った。
見てはいるが、口を出す気もないらしい。一瞥してその表情を確かめてから、オレはじっと思索の中へ再度沈み込んで行く。
結局――認めざるを得なかった。機関に来て――家業を、『|出奔した兄《アドラー・フォーグラー》よりも上手く』やることを目指して――それが何一つ間違えた努力だったことを。
オレは大した商才もない。富を増大させるのには向いていない。
ただ、こういう目利きが少しできるだけ。
リボンを選ぶ、靴を選ぶ。武器を選び、戦い方を選ぶ。
不特定多数の大衆に向けた商売を得意とする家業にはさほど必要のない能力だった。それでも、
――オレは、『相手の価値に沿うもの』を選ぶことができる。
手元のメモに、いくつか軽くデザイン画を描いた。別に絵は上手くないが、形くらいは伝えられる。
「仕立てたん渡すには時間ないんちゃうん」
「それは後でいい」
サプライズ性と、無駄にならないことを両立するために、仕立てる前の布と、小物と、デザインの方向性だけを伝える。後はある程度採寸して、職人に任せる。
必要な作業を終えて、ふう、とため息をつく。何気なく顔を上げると、兄は柔らかくオレを見ていた。
「丸くなったなあ」
「…………んだそれ、何様だ」
思わず顔をしかめてしまう。
オマエが人のこと言えたクチか、とは言えなかった。
兄は――カラソは、サンプルを片付けるのを手伝ってくれた。商人と話をつけるのに、最終的には値段交渉まで片付けてへらへらと去っていく。オレが思っていた予算の一割は浮いて、なのにその額をせびるでもなく。
ちりちりと浮かぶ劣等感もあれど、素直に受け取れる程度の余裕は生まれていた。
カリンは、機関にいる親戚たちから誕生日を祝われる。実家の兄たちからも誕生日を祝うプレゼントが届いているようだった。オレには想像できない家庭環境だが、だいぶオレも巻き込まれて長く、いつのまにか慣れてしまった。
そんな彼女に渡すモノは、タイミングも重要だった。他のものにもみくちゃにされて、印象が薄くなるといくらか寂しい。
まだ祝うような空気が強くない早朝に、訓練を持ちかけた。バディだからという名目で――別に仕事もないのだし、今日は休んでもいいのだが。そのはずなのにわざわざ早朝に訓練しようと誘ったから、向こうも微妙な緊張をもってやってくる。
通り一遍の確認を取って、訓練を終えてから、「おい」と声をかける。
「……誕生日、お、めでとう」
だいぶスムーズに言えるようになっていた。けれどやっぱり口にすると照れくさく、言いながらカリンの口にビスコッティを突っ込む。彼女はモソモソと口を動かして――訓練とはいえ腹は減るのだ――ごくっと飲み込む。その間に、玄関口の安全な場所に置いておいた荷物から、包みを取り出した。
「あ、ありがとう。それ、プレゼント?」
「…………ん……未完成だが」
「未完成?」
少し不思議そうな目を向けられる。いつも計画性を持てと口酸っぱく言うオレが当日に間に合わせなかったのだから、遅刻のようでもある。自分で言うのもなんだが、珍しく見えるだろう。
「中身、確認してもらっていいか?」
「いいけど、何? 結構軽いね」
紐を解きながら、カリンが言う。はらりと包みが取れて、反物が見える。
「……服?」
「まだ、布。……採寸とかしねぇと、まともに服にできねぇだろ」
彼女に合うように、柄も、色も、ずっと悩んで選んだ。裏地も小物の紐も、全部選んで。
目を丸くしているカリンをよそに、メモを開いて、「こういう風に、これから仕立てようと思って――」と見せる。
「オマエが気にいらねぇなら意味ねぇから、確認も兼ねて――」
そう言いながら顔を上げると、――顔を赤くしたカリンがそこにいた。
思ったより目の前で。
「……な」
「…………」
「……ンだよ! 文句あるか!?」
「な――ないない! ないけど~~ッ!?」
全然いいけど、じゃあなんだよ今の沈黙は――なんてやりとりをぎゃあぎゃあしながら。
心のどこかで冷静な自分が、――いい加減このくらい慣れねえかなぁ、オレも、と呆れた声を上げていた。
レオカリちゃんは思春期少年漫画カップルなので
この流れだとカリンちゃんが、レオ自身がカリンちゃんの採寸をすると誤解し爆発してレオがアンコちゃんとかに死ぬほどからかわれたりなんやかんやする、そういうやつ。今言葉が足りていない自覚がありますが「伝われ」の丸投げ顔してますね
イメージとしてはまだ付き合ってないか付き合っていても微妙に照れが残ってる時期だと思います、まあそういう時期もありますよね。なかったら二次創作ってことで許してください。
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