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上原のあ@uen70ika

No.140

Weapon in Twin,WIT_SS

クレカヤちゃん 即興小説
クレカヤちゃん 即興小説

#-カヤノ #-うちよそ

お題:ホテルの一室・運動会の朝・焦り
5分+最後2文追加



 外から何かアナウンスのようなものが聞こえてくる。
 誰かが魔法で拡声器でも作っているのだろうか。元気のいい声だった。応援でもしているらしい。
 微睡んでいるところから、徐々に覚醒していく。

(……あれ、お日様が……明るいな)

 ぼんやりした思考を動かして、ゆっくりと体を起こそうとした――失敗する。何かに縛られている……そうじゃない……抱きしめられている。
 クレはまだ寝ているみたいだったけれど、私が動いたからか「んん」と声を上げた。

『次の競技は――――』

 ……そういえば、今日はこの町でお祭りをやるって話だっけ。
 クレと二人で旅行に来たのだけど、たまたまお祭りの日にかち合ったのだ。お祭り、とはいっても、観光するようなものではなく、この町の人たちが身内で楽しんでいるようなものだ。運動会という名前がついていて、皆でスポーツとかをして競いつつ、遊びのように訓練をする……ような日、らしい。どちらかというと競って遊ぶのが主、とホテルの人は言っていたけど。

(これ、開会式、何時からって……)

 そこまで考えて、ハッと覚醒する。

「クレ! もう十時、すぎてる!?」
「……ん? ……んー…………」

 クレはまだ起きない。このままじゃ、帰りの便に遅刻してしまう。
 私まで寝坊しちゃったせいだ、とあわあわ焦った。いつもだったらこんなに寝てないのに。

 運動会に参加したわけでもないのに、ちょっと疲れて重い体にぐっと力をこめながら、「クレ、起きてよぉ」と声をかけた。
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